バンドメンバーの静 炉巌です。この前、”冥土喫茶の漫才”のことを書いてね、そこに藤岡藤巻の写真を貼ったわけです。あらためて見ると…

なにこれ? これがミュージシャンの写真なの?

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なんだか、会社の忘年会で、ひと昔前のサラリーマンが漫才を披露してるって感じがハマりすぎてる

だって、どうみたって、これは上司に怒られて、全力でヨイショをしている藤岡さんと、反省したフリでもしておきゃいいんだろ!とばかりに形だけうつ向いてる藤巻さんにしか見えない。腹立たしくなるほどにそんな感じ。


驚くべきことに、この写真はいわゆる“アー写“なんですよ、皆さん!

アー写ってのは、“アーティスト写真“の略なんだけど、ほら、芸能事務所とかが所属するタレントの写真を公式サイトに載せてたりするでしょ。あれですよ。あの公式写真がアー写。つまり、このふざけた写真は公式なの。

こういう写真のせいで、藤岡藤巻はフザけた音楽だって誤解するヒトが多いと思うんです。

一応ね、ちょっとばかり背景はあるんですよ。

藤岡藤巻ってのは、事務所に所属してないんだけど、以前はマネジメントだけを東宝芸能やホリプロにお願いしてた時期があったの。例えば、イベントやライブの諸々の調整とかね。

で、ホリプロにマネジメントをお願いしてた2008年11月のこと。

マネジメントとはいえ、事務所に所属することになるんだから、ホリプロのサイトや宣伝に使うためのアー写が必要ってことになったわけ。

もちろん天下のホリプロですから、ちゃんと売れっ子のタレントも撮影する専属のスタジオで撮るわけです。「卒業アルバムの写真を切り抜いてもってくりゃいいだろ!」なんてケチなことは言わない。

カメラマンだって、スタジオ専属のカメラマンだからね。そこらへんを歩いてる中学生に「きみ、悪いけどシャッター押してくれない?」なんてことはないんです。

で、撮影当日。雑誌の表紙を飾るモデルさんがよく似合う洒落たスタジオに、藤岡藤巻の二人がいるわけです。無地の背景の前で、ちょっと緊張してる感じの二人。

カメラマンは手慣れたもので、「ここでスーツの方の写真を撮るのは初めてですよ」なんて言いながら、二人にイイ感じのポーズを指導してパシャパシャ。

で、撮影がひととおり終わりそうなところで、ついつい口が出ちゃったの。

すみません。藤岡藤巻らしい、カッコ悪い写真もほしいんですよね。ごめんなさいって謝ってるとことか、ゴマすりをしてるところとか

ギョっとするカメラマン。

えっ? 今まで、そんなポーズで撮ったアーティストなんていませんけど

確かに、お笑いタレントの人だって、アー写ではちょっと気取って真面目な感じで写っている。

でも、それが藤岡藤巻なんですよ」と熱弁するオレ。

カメラマンは、困ったように担当マネージャーの松尾さんに目線を送る。松尾さんは戸惑った顔で藤岡藤巻をみる。目線のキャッチボール。そして「一応、撮ってみてもいいんじゃない?」と藤岡藤巻。

そんなわけで藤岡さんも藤巻さんも、音楽業界と広告業界の長いサラリーマン生活で身につけた"サラリーマン仕草"を披露することに。

でもってカメラマンはと言えば、さっきの戸惑いがウソのようにノリノリになってる。

そりゃね、これまでどんなブサイクだってカッコよく、あるいは美しく撮らなきゃいけなかったんだから、ストレスだってあったでしょうよ。そのストレスを開放したかのように生き生きしてる。

もちろん、藤岡藤巻のサラリーマンポーズだって、バッチリ決まってた。

これだよ、これが藤岡藤巻なんだ! サラリーマンの神様、見てますか! オレの給料を上げてください。

そんなわけで、藤岡藤巻の何パターンかのアー写の撮影が無事に終了した。もちろん、いわゆる”ちゃんとしたポーズ”だってある。

だけどね、その後、アー写を活用する場面は何度もあったけど、たいていはサラリーマンポーズの写真が使われてたの。

藤岡さんと藤巻さんは「お前のせいで、アー写がこんな写真になっちゃっただろうが!」って言うけど、それは違います。

藤岡藤巻の存在が、オレにあんなことを言わせたんです。オレだって、あんなことは言いたくなかった。

でもね、今だからいうけど、これがアー写って、なんかヘンだと思う!っていうか、絶対ヘンだよ!!

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